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中国が経済回復のために進みつつある道と、日本との関係

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昨日の日経新聞の朝刊の記事で、『外資の投資規制 一部緩和 中国、株式の上限撤廃』というものがありました。Webで公開されているものは有料会員のみ閲覧できるものなので、最後の行だけ引用すると

中国の株式市場は最高値の約3分の1の水準で低迷している。海外マネーを呼び込むことで、株式相場の底上げを狙う。

リーマンショック後に世界でいち早くその苦境を抜け出した中国ですが、このところ経済成長に陰りがでてきています。
じゃあ、海外から投資を呼び込めばもう一度立ち直れるか、と言われると、おそらく「No」の可能性が高いです。

中国は日本の二の舞を演じている?

積極投資の結末

中国がリーマンショックの打撃から抜け出せた理由はひとえに中央政府による投資にあります。「4兆元投資」、当時のレートで約50~60兆円もの金額の経済刺激策を打ち出すことで中国のGDPは急速に回復に向かっていきました。


その後も2011年頃まで積極的な投資は続き、回復は続いていきました。


しかしながら、2012年に突入したところで経済成長は緩やかになり、成長率に関して言えば低下の傾向にあります。その理由は、なにを隠そう「過剰投資」。『中国台頭の終焉』によると、2009年から2011年までの3年間に中央政府と地方が投資をした額の総額は実に10兆元以上とも言われています。実にこれは、通常のペースに照らし合わせてみると5年~7年分の投資額になります。さらに、この投資のために政府が借りた資金の償還期は3年~5年。つまり、2009年に借り始めた資金の償還が2012年、2013年にかけてどっと津浪のように押し寄せてくるわけです。


さらに言うと、中国政府が行ったのは主にインフラ支援、資金の回収期はまだまだ先です。


つまるところ、中国は経済回復のために国内産業に投資をしたいわけだけども、そのお金がもう手元にない。今回の「外資の投資規制の緩和」というのは、もう他に打つ手がなくなった上での「苦肉の策」とでも言うことができるでしょう。
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少子化と高齢化の話

では、海外からの投資を呼び込めは順調に事が進むかというと、これまた厳しい事情があります。上記の書籍にはこのようなことも書かれています。

中国には少子高齢化という問題もある。2010年の調査によれば、中国の出生率は1.18と、日本よりも低い。この数値を基に推計すると、中国の総人口は20年をピークに減少に転じ、生産年齢人口は13年をピークに減少に転じる。

2013年、つまり今年です。国内産業にいくら資金を呼び込んでも、もう一方の重要な人材が減少してくるわけですから、これまでのような成長を続けるのは難しいでしょう。今後数年はある程度の成長はできるかもしれませんが、2020年頃にはもうその余力は残っていないでしょう。


しかしながら、中国の人々はそれなりに購買力があって、今後10年、20年スパンで見ていった時には、供給力の低下に比べると、そこまでは需要は落ち込まないのではないかと思います。つまり、いつかは「モノは欲しいけど、それを自分の国ではまかなえなくなる」時代が来る。そこからは、過去に輸出益で積み上げた、約150兆円程度の対外純資産を取り崩していかざるを得なくなるわけです。対外純資産の赤字がちらつき始めた時、中国の国際的な信用は一気に落ち始めるかもしれません。


アメリカはこの意味で200兆円ほど借金垂れ流し状態なわけですが、しかしながら、これに関しては特別です。気にしたいけど気にしなくてよさそうです。


このヤバい状況で中国のお手本となっているのは何を隠そう日本です。日本は中国を上回る250兆円以上の対外純資産がありますが、2016年には経常赤字に突入すると考えられています。ということで、2016年以降は日本にとって貯金がどんどん減っていく恐怖の時代がやってくるかもしれません。「モノを作ってくれる人がいないよ。海外から輸入し続けなきゃいけないよ。これからどうする?」ってな感じで。

さぁ、どうしましょう…貿易赤字になったらモノ買うのガマンしましょうか。そんなことしたら危険な香りがプンプンします。