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老化とは何か。経済成長の必要性を改めて考える

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やはりこれ自体は避けられません。老化。年を重ねていくごとにキャリアも積み重ねて人徳が厚くなっていく人もいれば、逆に生気を失っていく人もいます。
経済成長を経たことで昔に比べて平均寿命も大幅に伸び、「人生90年時代」とも言われるようになりました。ただ、いつかはやはり、老化して時を終える。
心穏やかに毎日を過ごすためには何が必要なのでしょうか。

「老化」と「成熟」

歳をとって老化していくこと。日本が高度経済成長からバブルを経て低成長になっていくこと。一見違うようにみえるこの二つですが、実はどこかでつながっているのではないかと思う時があります。

過去を懐かしむこと、そして、実は何かを後悔していたんじゃないか、という点についてです。

死というものを恐れの対象として意識しだしたことで、人間の感覚、官能は鋭敏になってきてすべての味覚が鋭いものになってくる。

日本全体を成熟から成長に戻すことを望んでも詮(せん)ないことである。無理やり、成長戦略をとればバブルを生むだけだ。成熟は停滞でも閉塞でもない。成熟を受け入れ、これを楽しむことが必要なのではないか。

前者は石原慎太郎さんの『老いてこそ人生』、後者は榊原英資さんの『鎖国シンドローム』での言葉です。
実際、肉体的には目に見えて劣ってくる部分もありますが、
知識・経験・感覚などを含めた総合的な能力という観点で見ると、還暦前後までは十分に成長する余地があります。場合によってはそのもっと先までも。

大事なのは、両者とも、「現状を受け入れて、それを楽しむ」ということを主張しています(ただ、今となっては石原慎太郎さんは何を想うでしょうか…)。

じゃあ、「現状を受け入れられない」という理由って何なのでしょう?


「昔の健康だったころに戻りたいなぁ。」と思っている人の中には、当時に満足していてもう一度その頃の気分に浸りたい、という人もいるでしょう。
でも、一部の人は、何か後悔していたこと、やり残したことがあったと思っているのではないでしょうか。お酒やたばこを控えていればよかったと思っているのかもしれませんし、休日に子供と一緒に外でスポーツをして遊んでおけばよかったと後悔する人もいるはずです。
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経済成長にあこがれること

日本が国として頑張って為替を「適正」な水準までもってきて、株価を上げ、再びの経済成長を目指す。もちろんこれは絶対的に悪いことだとは思いません。将来生まれてくる子供を養っていくためのお金も必要ですし、もちろん自分たちが生きていくための最低限の生活費は必要です。
国が経済成長を望んでいるというのは、国民の多くがそれを望んでいるということです。いつでもいいのですが、仮に、望んでいるものが「毎日働いていれば給料も上がっていって、役職もだいたい計算できる」ようなものだったとしたら、少なくない人がその時代に満足していたとともに、後悔もしていたのではないかと思ってしまうんです。


「もっと貯金しておくべきだった」「女遊びをたくさんしたかった」「転職をしてみたかった」「起業したかった」……想像することしかできないですが。。


どうしたって昔と全く同じ状況に戻るなんて、できっこないじゃないですか。だったら、昔のことは、「それもまた幸せ」だったと割り切って強制的に満足して、現状でできることを探すのもまた一つの方法ではないでしょうか。


ジャーナリストの鳥越俊太郎さんがガンになった時に、決して「元に戻りたい」とは思わずに、「これでガン患者に対して身を持って取材できる」と感じたのと同様に、


日本も、少子化・高齢化が進んで生産年齢人口が減少していき、生産力が落ちるという「ガン」を患っているなかで、「成長、成長」と叫ぶのではなくて、その「ガン」を受け入れて、現状維持でもいいから自分らしいことをやっていくべきだと思います。
やはり今の日本の年齢構成やその他の人口動態を鑑みる限り、GDPで見た場合の経済成長を目指すというのはあまりにも非現実的です。出生率の減少も含め、高度に文明が発達した国の宿命です。
高度経済成長期には、もちろん国民が大変に頑張られたということは事実ですが、それ以上に「人口ボーナス期」だったという事実が非常に大きいのです。


始めは高品質で売れていた液晶ビジネスの活路を提携に求めようとするのなんて、もってのほかだと思います。過去の栄光を取り戻したいのは分かりますが、沈んだ船から沈みかけた船に乗り移っているようなもので、結局は時間稼ぎにしかならないのではないでしょうか。日本が韓国や台湾にその地位を奪われたのと同様に、いつかは彼らも他の新興国に追いつかれ、追い越される時がくるはずです。
ただ、その点で、「電機メーカーと違う異業種を巻き込み、顧客に新たな価値を提示する」(高橋副社長)というのは新たなチャレンジだと思いますし、応援したい気にさせてくれます。