まっしろなブログ

地域活性化に関わることをやっています

「フレネ教育」が日本の未来を変える……かも!

スポンサーリンク

異なる年齢の生徒が一緒に学ぶ「フレネ教育」

人口の少ない地域では、違う学年の子供たちを同じクラスにまとめている学校が多くあります。このようなクラスは「複式学級」と呼ばれるものです。1クラスにするに十分な生徒の数が集まらず、やむを得ない形で生まれた複式学級ですが、外国にはこの方式に特有のメリットを期待して、意図的に「異年齢クラス」を導入している学校があります。


複式学級のルーツは、フランスで生まれた「フレネ教育」に求めることができます。フレネ教育は、詰め込み学習から脱却し、共同体の中での人格形成を主な目的とした教育です。1983年に日本に持ち込まれ、研究が始まりました。現在は、フランスの公立学校を中心として、アメリカ、スイスなど、多くの国の一部の学校で実験導入がされています。

自分のペースで勉強をする

異なる年齢の子供が同じ教室に会するのですから、先生が生徒全員を対象に黒板を使って授業をしても、それを理解できる子供と、できない子供が生まれてきます。そのため、フレネ教育の複式学級では生徒各々が作った「活動計画表」に基づいて自習をすることがメインになります。分からないところがあったら先生に聞いて理解を深める。そして、2週間ごとに自己評価をして、それと同時にクラスメイトから自分に対する評価をもらいます。


”自分のペースで勉強することは、理解が満足でないまま勝手に授業が進んでしまうことに比べて、結果的には「ゴール」にたどり着くまでの時間が短くなる”という研究結果もあり、さらには子供どうしで勉強を教え合ったりすることで、年上の子や年下の子に対する対人関係のスキルも身に付くことが期待されています。


授業時間内で理解できないことがあった生徒のために、フランスの指導要領には「補修」の時間が設けられています。フランスでは月・火・木・金の週4日、1日6時間の義務教育の時間が求められており、その他に週2時間まで、学校独自に補修の時間を作って良いことになっています。学校のない水曜日に2時間にしてもよいし、学校のある4日の放課後に30分ずつすることも可能です。


実際に何歳から何歳までの子供が同じクラスにされているかは国や地域によってまちまちで、4歳~8歳、5歳~7歳、9歳~11歳など、バリエーションは豊富です。
f:id:tom-w:20030328010843j:plain

日本でも少しだけ

日本でも実験的に「複式学級」を導入している学校があります。例えば、広島大学附属東雲小学校では、通常の単式学級に加えて複式学級・特別支援学級を設けています。学校ではないですが、クローバのお教室では、2歳から小学校低学年の子供を一つのクラスにして、泥遊び、ハーモニカやリコーダーの演奏、こんにゃく作りなどのカリキュラムを行っています。


現在では限られた学校での導入にとどまっている「複式学級」ですが、実施することそのものはそれほど難しいことではありません。この形式の指導は、江戸時代の寺子屋と同じものでもありますし、文部科学省の学習指導要領の中には、国語や、3・4年生の社会、1・2年生の生活、音楽など、複数の学年にまたがった到達目標が設定されている科目が多くあります。


実際に複式学級を阻んでいるものは、この新しい指導方式を行うにあたって必要な教材や計画表などの資材の費用や、異なる学年の生徒を指導するために必要な教員への教育、勉強の理解度に対する保護者の不安などです。


実際に複式学級を卒業した生徒の長期的な追跡調査などを行ってみないと、従来の単式学級に比べてどちらがよいかは判断が難しいでしょう。でも、これによって勉強の理解度も上がり、人間関係のスキルも向上するのであれば、まさに「いいトコ取り」ではないでしょうか?


義務教育のどこかで自分が周りの生徒に比べて年上になり、否応なしにクラスメイトを率いなければいけない状況を経験することができれば、もしかすると大学生が就職活動の際に「リーダーシップ」を求められることだってなくなるのかもしれませんね。