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伊豆大島は2013年の台風被害から復興したのか?

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2013年に伊豆大島を襲った台風26号

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2013年に伊豆大島を襲った台風26号は10月11日3時にマリアナ諸島付近で発生し、14日には強くて非常に大型の台風に発達。その後、勢力を保ったまま北上し、16日の明け方に伊豆諸島の北部を通過、同日の15時に温帯低気圧に変わりました。

台風26号の影響で、東京都・千葉県・茨城県の14地点で観測史上における24時間降水量の最大値を記録しています。特に伊豆大島では16日3時53分までの1時間雨量が122.5ミリ、16日8時20分までの24時間雨量が824ミリと、とてつもない大雨に見舞われました。月平均雨量と同じくらい大量の雨が一晩で降ったのです。

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この大雨が、伊豆大島の土砂災害を引き起こしました。気象庁はこの台風に対して「関東地方に接近する台風としては10年に一度の強い勢力を持っている」と15日午前中に発表し警戒を呼びかけたものの、豪雨と土石流は想定外だったのです。

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10月16日未明、時間雨量90mm以上の豪雨が4時間継続したことにより、三原山の外輪山西斜面で複数の表面崩壊が発生。中腹が幅約950mにわたって崩落し土石流が発生したのです。

この土石流は西に向かって流れ、元町神達地区や元町二丁目・三丁目といった集落までも飲み込んでしまいました。全壊家屋133件(うち非住家62件)、半壊家屋50件(うち非住家25件)など385軒の建物が損壊し、36人が死亡、22人が重軽傷、3人が行方不明という甚大な被害を被ることとなってしまったのです。

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写真は少し古いものになりますが、未だに仮設住宅も残っています。

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この土石流は、集中豪雨を降らせる「線状降水帯」が原因とされており、平成26年に起こった広島市の土砂災害や平成27年の東日本豪雨における鬼怒川決壊でも猛威をふるいました。集中豪雨の約3分の2は線状降水帯が原因」との指摘もあるくらいなのです。

また火山特有の地層も被害を大きくさせた原因の一つに挙げられます。伊豆大島は火山である三原山によって作られた島です。過去の噴火で発生した溶岩や火山灰が重なって地層となっており、水を通しやすい地層・通しにくい地層ができてしまうことがあるのでその境目で土砂崩れが起きやすくなるのです。

更に、台風26号の甚大な被害は人災と言える面もあるとの厳しい意見もあります。非常に勢力が強い台風26号が接近しているにも関わらず、住民に避難勧告や避難指示は出さずに防災無線での注意に留めてしまっていたのです。

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大島町長は勧告や指示を出さなかった理由について「激しい風雨の中で深夜に勧告をすれば余計な混乱を招き、かえって被害を増やす恐れがあった」と説明しています。これに対し、「10年に一度の強い勢力を持った大型の台風であることは事前に分かっていたはず。夜にかけて状況が悪くなることは予想できたので早めに避難勧告を出すべきだった」と指摘されているのです。

他にも、土石流による災害を大きくした一因に観光道路「御神火スカライン」の存在があるとの意見も。「御神火スカイライン」は三原山外輪山の急斜面にあり、土砂崩壊の始点がスカイラインの道路線とかなり重なっている様に見られるからです。

溶岩や火山灰土の地層で出来ている急傾斜地を道路で分断してしまったために、土壌が不安定化して台風時の記録的豪雨により一気に崩落してしまったのではないかと考えられているのです。

このように、台風26号が伊豆大島に甚大な被害をもたらした理由は一つではなく、様々な要因が重なったせいで最悪の結果となってしまったと言えるのです。

その後も伊豆大島を襲う台風・不安視される火山活動

未曾有の大規模災害を引き起こした台風26号に限らず、そもそも伊豆大島は台風の通り道になることが多い場所です。その後も、伊豆大島は何度も台風に襲われているのです。

また、心配されているのは台風だけではありません。

伊豆大島は火山の島であり、活火山に位置づけられています。更に活火山の中でも特に活動度が高いとされる「ランクA」に分類されているのです。

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観光対象として火口をぐるりと1周まわる遊歩道やハイキングコースなども整備されている三原山ですが、「火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山」として常時観測の対象にもなっています。

三原山は30~40年感覚で中規模(噴出量数千万tクラス)の噴火を起こしているとのこと。

前回、三原山で起きた中規模の噴火は1986年で、全島民と観光客13000人が島外への脱出を余儀なくされるという前例を見ない事態となりました。

その噴火から早30年が経っていることもあり、そろそろ中規模クラスの噴火が起こるのではないか・・・と懸念されているのです。

更に、大きな噴火の後には地震発生の可能性が高いこともあり、伊豆大島は注意が必要な時期になってきたのではないか?との心配の声が上がっているのです。

伊豆大島では復興と並行して、次々と発生する災害に対する備えも行っていかなくてはなりません。

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台風26号の被害から3年、伊豆大島の現在は?

甚大な被害を被った台風26号から3年の月日が経ちました。

復旧工事が進み、土石流の現場に緑が見られるようになってきたものの、まだまだ本格的な復興に向けて様々な取り組みを行っている真っ最中です。

そのうちの一つが「伊豆大島観光復興キャンペーン」です。これは、台風被害を受けた翌年の平成26年度から引き続き行われている施策で、伊豆大島での旅行の際、ホテル・旅館・民宿等の宿泊施設における宿泊費用の一部が割引されるというもの。一人1泊につき3,000円の割引で最大2泊まで適用可能です。

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現地の宿泊施設で支払決済を行う場合のみ対象(ネット決済やパッケージツアーは対象外)、大島観光協会が発行する「宿泊割引券」が必要など多少の制限はあるものの、2泊で6000円もの割引価格で宿泊することができるのです。

ツアーの場合は対象旅行会社が企画する伊豆大島ツアーで最大11,000円の割引あり。ツアーの種類や実施日、割引額は旅行会社により様々なので直接確認が必要ですが、こちらもかなりお得に旅行ができます。

また、台風の土砂災害では海岸線から三原山の展望台までをつなぐ「御神火スカイライン」も大きな被害を受け通行止めとなっていましたが、2016年9月10日に復旧工事が終わり、無事開通しました。

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御神火スカイラインの開通は伊豆大島復興における大きなシンボルであり、9月25日には「三原山ヒルクライム2016」というイベントが無料モニターツアーという形で開催されたのです。

また、大島はサイクリングにもうってつけの場所で、今年はアジア選手権も開催されています。

 

完全復興を目指す伊豆大島。遊びに行くことで、「観光支援」という形で復興を応援してみてはいかがでしょうか?

伊豆大島の観光は冬が狙い目?イベントも紹介【2016版】