大島桜を徹底紹介! 実は食品にも使われている!?
伊豆大島に自生する大島桜
大島桜は伊豆大島をはじめとする伊豆諸島や房総半島などに自生する桜の一種です。葉っぱは桜餅に、木材は茶筒などの工芸品に使われるなど、実は私達の身近にも多く利用されている桜でもあります。
そんな大島桜は、実はソメイヨシノの元となっている品種だったりします。ソメイヨシノは大島桜とヤマザクラの交雑種を片親とし、もう片親がエドヒガンである可能性が高いのだとか。他にも、大島桜とマメザクラを交配して生まれたのがフユザクラであったりと、大島桜は多くの品種の親株となっている桜なのです。また、他のサクラの接ぎ木の台木にも使われます。
大島桜は幹の直径が50~200cm、樹高が10~15mほどで他の品種の桜よりも香りの強い花を3~4月に咲かせます。花はソメイヨシノよりも白くて大きく、その可憐な姿と香りの良さから「純潔」・「心の美」・「優れた美人」という花言葉があります。
海沿いが自生地ゆえに潮風に強く、丈夫な品種なので街路樹や公園樹に用いられることが多いです。
樹皮や木材は磨くと光沢が出るので工芸品や家具に使われることが多く、昔は浮世絵の版木にも使われていたそうです。ちなみに樹皮には鎮咳・去痰効果があるとされており、大島桜の樹皮は「桜皮」という名で漢方薬材料として用いられています。また、排膿や解毒効果もあることからニキビの薬としても使われています。
果実に関しては桜の品種の多くが実を結ばない中、大島桜は5~6月にさくらんぼの1/4~1/2ほどの大きさの赤い実をつけます。食べることも可能ですがエグみが強く生食には不向きなので食用として流通はしていません。もし食べる場合はジャムなどに加工するのが良いようです。
葉っぱは5~10センチ程の大きさです。香り成分クマリンを多く含んでいるので塩漬けなどにして細胞が死ぬと良い香りがするのが特徴で、表面に細かい毛がないこともあって桜餅などに利用されています。
ちなみにクマリンは経口摂取すると肝臓毒性があるので、桜餅の葉っぱを一緒に食べると言う人は多量摂取に注意してください。
寒咲大島
「寒咲大島」はその名の通り、まだ寒い時期に咲く品種で、伊豆大島の大島桜の中で特に早咲きのものを選抜した品種です。
毎年クリスマスの頃にはチラホラと咲き始め、2月下旬~3月中旬に見頃を迎えます。
桜株
伊豆大島にある「桜株」は大島桜の古樹であり、1935年に国天然記念物指定、1952年に国特別天然記念物に指定されました。
その樹齢は正確には記されていないものの、1552年(天文21年)三原山噴火の溶岩流の上にあることから、地質学的な見解では1552年以降に植えられたものだとされています。
しかし、役の行者が699年に伊豆に流された際にお手植えされたという伝説もあり、もしこれが事実だとしたら樹齢は1300年ということになるのです。
伊豆大島の桜株は島の北東部、泉津地区にあります。地元では「サクラッ株」という名で呼ばれ、天然記念物に指定されるよりもはるか昔から大切にされてきました。昔は、房総半島から大島へ船に渡る際の目印にされていたほどの大木だったのだとか。
桜株はその名の通り、株立ち状の桜です。元株は主幹が朽ちて太い枝が横たわっていることもあり、見た目は管理不足の古木に見えるかもしれません。
しかし、あまり知られていないことですが、桜株の価値は朽ちて横になった枝と周囲に立ち上がる3本の桜にあるのです。
桜株は自身の生命力と地元の方々による管理によって、次々と樹形を変えながら長い年月を生き抜いてきた、貴重な桜だと言えるでしょう。
桜株は、元々は大きな1本の大島桜の木だったと推測されています。元株の主幹は高さ約2mから上が枯れており、太枝が北東の方向に伸びて立ち上がっていましたが、この枝も2004年に強風で倒れてしまいました。
また、元株とは別に東・西・北側の離れた場所に各1本ずつ、幹が上に伸びています。これらの幹は元株の枝が台風などの強風で折れた後にその場から不定根が生じて根を下ろし、地上部からはヒコバエが生じて伸び、幹になったものを考えられています。
桜は不定根を出すことで生きながらえやすい樹木ではありますが、桜株ほど見事に生命の維持と更新を繰り返し生き延びている桜は他に例を見ないそうです。
この生命力の強さこそが桜株の価値だと言えるでしょう。
平成19年3月には桜株の周囲に見学者用の歩道とデッキが設けられました。見学者の踏み込みによる桜株への影響を極力少なくするためです。
桜株の花は3月下旬頃に咲きます。その生命力の力強さを実際に見て、感じてみてはいかがでしょうか。
<場所>
〒100-0103 東京都大島町 泉津福重
「椿園」側から「あじさいレインボーライン」に入ってすぐの左側にあります。
食品にも利用されている
大島桜は、もとより桜餅や桜の塩漬けという形で食品にも利用されてきました。愛知県にある「山眞産業株式会社」ではそれ以外にも様々な「食べる桜」の商品を販売しています。色々な商品がある中で、桜葉の商品には大島桜が使用されているのです。
(なお、国産の桜葉商品のうち約90%は伊豆半島の松崎で栽培されたものを使用しています)
山眞産業株式会社が販売している桜葉を使った商品のうち、家庭用商品は以下のものがあります。
桜の緑茶
乾燥させた桜葉を国産の緑茶にブレンドしました。ほんのり桜が香ります。
桜ノンオイルドレッシング
桜花と桜葉のミンチを加えた桜色のドレッシング。ノンオイルでサッパリとした味わいです。
桜の葉パウダー
ほんのり緑色に色づく粉末状の桜葉。クッキーやマドレーヌなどの焼き菓子に使う他、砂糖と混ぜてバタートーストに塗るのもオススメです。
桜の葉ミンチ
桜葉の塩漬けをミンチ状に加工。焼き菓子や団子などに混ぜて使えます。
乾燥桜の葉きざみ
シフォンケーキやスポンジ生地など、ケーキに混ぜたり麺類のトッピングに最適です。
桜あん
桜葉のミンチが入った桜色のあんこ。和菓子にはもちろんのこと、生クリームと混ぜてケーキ作りにも使えます。
桜葉塩
桜の風味のお塩です。天ぷらや焼き魚にどうぞ。
桜もちセット
桜の葉・道明寺・こしあんがセットになっていて桜もちを自分で作ることができます。
大島桜の香りを、ぜひご自宅の食卓でも楽しんでみてくださいね。