伊豆大島・まっしろなブログ

伊豆大島に本社をつくり、地域おこしの会社をやっています。ぜひ伊豆大島へ!

日本のすべての会社に見習って欲しい「おもてなし」の心

1か月半ほど前のニュースですが、こんなものがありました。
「最愛の母の最期に立ち会いたい」1人の乗客のためにユナイテッド航空がとった行動に世界中が感動!

ある男性が危篤となった母親の元へ向かうべく急いで飛行機に飛び乗った。目的地には乗り継ぎが必要だ。しかし予期せぬ遅延のため、母親の最期に間に合わない可能性が出たのである。すると、それを知ったスタッフが総動員で男性のために乗り継ぎ便を調整。見事、男性を母親の待つ地へ送り届けたのである。

いやぁ、とてもほっこりとするニュースですね。この対応のおかげで、男性はお母さんにしっかりとお別れを告げることができたそうです。
ということで、今回はいろいろな会社や人の「おもてなし」の仕組みやエピソードを紹介したいと思います。

魔法の場所 ディズニー

「おもてなし」や「サービス」と言われてとにかく僕が最初に思い浮かべるのはディズニーです。このところしばらく行っていないですが。。「キャストに目的の場所が分からないと伝えると、そこまでの行き方を教えるのではなく、その場所まで連れて行ってくれる」。もちろんこれはよく知られていることですが、こんなディズニーの細かなおもてなしの原点はこんな標語に集約されています。

「ランプにぶつかる」

この言葉は『ロジャー・ラビット』という実写とアニメーションを合体させた映画の撮影から生まれたものです。
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こちらが『ロジャーラビット』。人間とアニメが一緒になっていて、何だか不思議な感じがしますね。そして、その撮影現場でこんなことが起こります。

『ロジャーラビット』の撮影の中で、主役のボブ・ホスキンズが天井からぶら下がっているランプにぶつかってしまいました。ぶつかったことでランプが揺れ、したがってボブの影も揺れる。しかし、アニメーションのロジャー・ラビットを加えた時に、その影は揺れていなかったのです。
このまま上映させてもゲストは気付かないかもしれない。しかし、アーティストたちは妥協を怠らず、しっかりと影が映るように毎秒24コマの画像を丁寧に仕上げていった。

見ているお客さんは気付かないかもしれない。でも、もしもこれに気づいて「すごい」と思われれば、他の人にも評判が伝わって人気がアップするかもしれない。

ディズニーはゲストの期待を常に超えようとしています。

クオリティー基準の4つの要素

ディズニーのキャスト(ディズニーに限らず他の会社でももちろん!)は、マニュアルに沿った行動を徹底して行っています。しかし、ウォルト・ディズニーが言う「ゲストの幸せを創造」するためには、キャストは臨機応変に対応しなければいけません。
不測の事態が起こった時、キャストが対応に困らないようにディズニーでは「クオリティー基準」として4つの項目に優先順位を付けています

  1. 安全……ゲストが常に快適に安心してすごせるようにする
  2. ゲストへの配慮……全てのゲストに対しVIPとして接する
  3. ショー……ゲストにつなぎ目のない優れたエンターテイメントを提供する
  4. 効率……テーマパークとリゾートをスムーズに運営する

優先する順位はこの通りになっていて、
例えば、乗り物にたくさんのゲストが並んでいて、乗り降りが混雑するために予定時間にスタートできるか分からない状態があったとして、一方でその乗り物には体の不自由な人が乗り込もうとしている。
こんな時にはキャストは必ず1の「安全」を優先してサービスをすることになります。

謝罪の名人「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」

次に紹介したいのは、同じサービスはサービスでも毛色が違うものです。
「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」。今ではこう呼ばれている三輪康子さんは、有名ホテルチェーンの歌舞伎町の店舗の支配人です。
三輪さんがこのホテルに配属された当初は、フロントでヤクザがカツアゲをしていたり、日本刀を振りかざしたりと、ホテルとは思えないような光景が広がっていたのですが、三輪さんはこの店舗で売上日本一を記録します。

そこで鍵になったのは「クレーム対応」でした。

とにかく謝罪、謝罪、謝罪

三輪さんがクレーム対応をする時に気を付けたポイントはこの4つです。

  • どんな時でもまずはすぐ謝罪から入る
  • ミスが起こったことをすぐ報告してもらえるように部下との信頼関係を築く
  • 「大変申し訳ございませんでした!」最初の一声に全てをかける
  • 「お客様の傷ついた心」にだけ焦点を当てる

どんなに理不尽なクレームだと感じても、まずは謝る。相手が不愉快な気分になったことは事実だから、とにかく謝らなければいけない。三輪さんのこれらの指針もお客様目線の立派な「おもてなし」ですね。
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三輪さんが開業医だったお父さんからよく言われていた言葉に、こんなものがあったそうです。

「怒っている人に怒り返してはいけない。怒っている人には、余計やさしい言葉でお返ししなさい」

とにかく怒り返さない。仕事だけでなく、プライベートでも心に刻んでおきたい言葉ですね。

リッツカールトンホテル

忘れるところでした。ホテルときたらリッツカールトンに触れないわけにはいきません。お客様のおもてなしにはとことんこだわるリッツカールトンですが、先ほどの「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」こと三輪さんのクレーム対応の内容に関係して、今回は「危機対応」についてのエピソードを取り上げたいと思います。

緊急事態はチャンス

リッツカールトンは、緊急事態の時こそお客様からの信頼を得るチャンスととらえています。
2005年の10月に大きなハリケーンがメキシコのユタカン半島という場所を襲いました。この時、リッツカールトンはあらかじめハリケーンが来た場合に備えて同じくメキシコのカンクンの安全な場所に2軒のホテルをリースしていたため、お客様をそこへ避難させました。
本来であればここまででもすばらしい対応なのですが、まだ続きがあります。

ハリケーンが通過した後、国外からのお客様が一刻も早く帰宅したいと言い出しました。しかし、カンクンの空港からは民間機が離着陸していなかったため、お客様は空港で足止めを食らっていました。
そこでリッツカールトンは急きょ人脈をたどり、メキシカーナ航空の飛行機を調達することに成功したのです。この時、お客様を飛行機で国外に脱出させたのはリッツカールトンだけであり、お客様の信頼を得ることに成功したのです。

なんともスケールの大きい話ですが、こういったエピソードがリッツカールトンの評判をさらに高めていることは確かですね。

自己判断にはリスクがともなう

従業員に権限を委譲させることはプラスの場合もありますが、思わぬリスクもはらんでいます。同じ飛行機がらみで会社に損失を負わせてしまった例を一つ挙げてみます。

ある夜、アメリカのロングビーチ空港で、ジェットブルー航空ニューヨーク行きの便に乗るために160人のお客が待機していました。
しかし、トラブルによって飛行機が翌朝まで到着しないことが判明。ジェットブルー航空が乗客を決して空港で立ち往生させないという方針を熟知していた地上勤務員は、すぐにユナイテッド航空に行き、160人分の座席を用意できるかたずねた。「大丈夫です。1人1000ドルです。」という返事を聞くと、あっさりとその場で160人分の代金である16万ドルの小切手を切った。

ここまで聞くと「別にいいんじゃない?」と思うのですが、実はジェットブルー航空の予備の航空機がほんの数百メートル先にあったのです。ジェットブルー航空は1998年からあるLCC、格安航空会社です。ただでさえコストを切り詰めて経営している会社に16万ドルの出費というのは相当なダメージだったでしょうね。

アイルランドのスーパー「スーパークイン」

アイルランドにお客様志向で有名な「スーパークイン」というスーパーマーケットがあります。最初は8人だった会社が21店舗・5000人の企業に成長した理由の一つに、「この決断でお客が戻ってくるか」というものがあります。

レジのそばからお菓子が消えた

スーパやコンビニで買いものをすると、ついついレジの横にある、安いお菓子だったりガムだったりを勝ってしまうもの。お店にとっては売上アップになくてはならないポイントですね。
しかしスーパークインではレジのそばにお菓子を置くことをやめたのです。その理由は

小さな子供連れで買い物をする母親を悩ませていることがわかったから。
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その代わりにスーパークインがやったことは、

  • 幼児のための遊び場を設置

そして、託児の専門家を雇ってそのスペースを提供し、遊具も購入しました。
短期的にはお店が失う利益と託児員に対して支払うお金はかなりのものになりましたが、それを補って余りある利益がお店にもたらされたとスーパークインは確信しています。

「月に一度は家族の買い物をしなさい」

お客様に喜んでもらえるようになるには、まず自分がお客様の立場になってみなければ見えてこないこともあります。そこでスーパークインでは、取締役に対して
「月に一度は自分の家族の買い物を自分でしなさい!」

と義務を課しています。ディズニーでも、年に1度、キャストがパークに招待される「サンクスデー」というものがあるのですが、これにも近いような気がしますね。ちなみにこのサンクスデーで接客をするのは上司などの「お偉いさん」方なのだそう。この前にテレビで見たときは社長&副社長も接客していました。



こんな風な、お客様の心に残るような、さらには、本当にお客様のためになるようなおもてなしをする会社が一つでも日本に増えて欲しいと願っています。

追記

とてもびっくりしているのですが、いつも「いい視点だなぁ~」と、そしてブログの文章などを書くときにも参考にさせてもらっている『脱社蓄ブログ』のdennou_kurageさんに記事について言及してもらいました。中身は、僕の記事の内容に対して「サービスへの過度な期待は負のスパイラルを生むかもしれないよ」というもの。

「おもてなし」の心を日本のすべての会社が見習う必要はない
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/04/29/172849

自分の書いた記事に賛成であれ反対であれ、新たな視点が得られることはとっても嬉しいことです。「確かにそうなのかもしれないなぁ~」と納得する点がありました。こんな風に、僕もたくさん知識や経験を積んで、物事をいろんな角度から、メリットデメリットに言及できるように成長していきたいです。