伊豆大島・まっしろなブログ

伊豆大島に本社をつくり、地域おこしの会社をやっています。ぜひ伊豆大島へ!

地域ブランドの定義。ブランドイメージ戦略を大島椿に学ぶ。

はちみつを中心とした伊豆大島ブランド事業の相談のために、椿油(つばきゆ)メーカーである大島椿株式会社の岡田社長と打ち合わせをしてきました。

 

このところもやもやっとしていた自分の中の地域ブランドの定義についての雑感と、

商品開発の当初から行うブランドイメージ戦略がいかに大切かということへの気づきです。

 

地域ブランドの定義

 

「地域ブランド調査2015」によると、1位から順に

函館・札幌・京都・横浜〜

と続くのですが、このための調査項目は「魅力度」「認知度」「観光意欲度」「居住意欲度」「愛着度」「自慢度」などなど計100に及びます。

 

一般的にコンセンサスになりつつあるところに自分の気持ち(希望)も加えて簡単にすると

 

「物産や自然・文化等に関する付加価値を高めて、旅行者(消費者)に加えて地域住民に満足度や自信を与えるもの」

 

と定義したいと思います。

 

「伊豆大島ブランド」

tom-w.hatenablog.com

にとっても、それは一口にただただ核となる商品(キラーコンテンツ)となるはちみつだけを作っていれば良いのではなく、

 

その過程で大島に根付く自然や文化にスポットライトを当て

消費者にストーリーを含んだ「モノ」という形でお渡しする。

 

地域の方々は、モノを作る過程で同じく地域内の自然や文化の魅力を再認識し

自分の町に対する自信と誇りが持てるようになる。 

 

実際においしいかどうか、それはそれで大切ですが

どの農家さんだって自分が作った野菜が一番おいしいと思うものだし、自分が作った商品が一番カッコいいと思うものでしょう。

僕だって、はちみつが採れた際にはおそらく「これは世界で一番おいしいはちみつだー!」と言い張ることでしょう。みなさんが我が子に抱く気持ちのように…!

 

自分の作ったものを"世界一"たらしめているのは紛れもなく彼ら自身のストーリーでしょうし、それを消費者に味とともに伝えたい。

生きている証ってもんでしょう!!

 

ってことで行ってきました。大島椿株式会社。

 

大島椿さんの歴史の重み

 

大島椿の岡田社長とは1年ほど前に大島温泉ホテルでご一緒させてもらい

東京では物産展の際などに遊びに来てくれたりしましたが、

このところ全然お会いできていませんでした。

 

ちょうど年度が終わり、会社の今後についてまとまって考える時間が確保できたということで、機会を設けてもらいました。

 

本社は大門。通っていた大学に近い場所にあるので懐かしかった!

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引きの地図で見て、東京タワーや増上寺・役所などと同じ並びって…すごくないですか!?自社ビルではなく、数階建てのビルのワンフロアーなのに……!

 

ちなみに実家も近く。

中高が神大附属と伝えると、「あぁ、神大ね!」と。これまたびっくり!

 

 

で、、、目的!

 

 

いかにして「ブランド」を作り、その価値を維持していくか。

来年で創業90年になる大島椿の三代目社長の一郎さんから多くのアドバイスをいただきました。

 

  • ターゲット選定
  • メインラインとサブラインの設置について
  • 百貨店や飲食点との協力の仕方
  • スーパーやECなどへの商品展開の際の注意
  • カタログギフトの選定方法
  • 海外展開について
  • 取材対応について
  • コーポレートブランドについて
  • 原価率の設定
  • 輸送コストと内製化割合について

 

などなど…他にも大島の観光の現状や今後の行政、他社さんの動きも交えつつ情報交換をしました。

 

これが設立90年と3年の差か・・・・・。

ブランド展開について、自分のアイデアが相当綱渡り状態だったことに気づかされました。

マーケティングから商品開発の現場、販売、顧客マネジメントから海外展開戦略まで流れるように綿密に構築されていて、脱帽です。

1日2日でできあがるものではなく、数十年に及ぶ積み重ねが今の大島椿のブランドを築きあげています。

 

逆にブランドの価値を下げてしまうことは簡単です。

1つのミスがブランドに取り返しのつかないくらいの打撃を与えかねません。

 

「今治タオル」を復活させた佐藤可士和さんにしても、地道にコア商品である「白いタオル」を戦略的に展開した後に

今治側から挙がってきた商品広告の希望(羊がタオルを被っている……!という図)がブランドイメージを損ねかねないという懸念があるため、デザインを見るなり即却下しました。

闇雲に"クリエイティブ"なことをするのが必ずしも良いとは限りません。

 

ブランドの価値を維持するためには「これでもか!」というほど一挙手一投足に気を配らなければなりません。

 

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(大島椿:「大島椿の椿油とは」より) 

 

いいですね……!輝いています!

 

僕も使っているのですが、匂いもないし、肌でも髪でもとても良く伸びます。

 

口コミサイトの「@cosme」で

  • 殿堂入り
  • 10周年特別総合大賞
  • 15周年クチコミ最多賞

など、これ以上ない評価を受けている理由が分かりました。

すごすぎる。

 

離島ブームと地方行脚

 

1970年〜1980年にかけてピークを迎えた離島ブームに少なからぬ影響を与えたのが大島椿さんであることは、あまり知られていません。

 

1927年に、1代目である春一さんが大学(この時代に大学ってすごい!)の卒論のテーマを探すために訪れた大島で…

 

黒髪のきれいな女性の多いこと多いこと!

 

理由を聞くと、椿油を使っているのだそう。

これが全ての始まりです。

 

戦前の大島は経済基盤があまり強くなかったことから、椿油を全国に広めて販売すれば「地域貢献」ができるのではないか・・・!

完全な「よそ者」のひらめきで会社が生まれました。 

 

戦前から戦後にかけて東海汽船(フェリー会社)からバスを譲り受け、改装して椿油のPRのために全国を行脚。これが消費者やメディアに受け、大島を含む伊豆諸島の魅力が上がっていきました。

 

高度経済成長期の中、海外旅行はまだ敷居が高く、沖縄も返還前後であったこと。

全国総合開発計画(全総)による離島振興によって、総合研究所や事業会社などがこぞって地域振興事業に踏み出したこと。

そんな中で都心に比較的近い伊豆諸島にスポットライトが当たるのは自然な流れだったのかもしれません。

 

とはいえ、この中に大島椿さんの貢献が含まれていることは間違いないでしょう。

今でも3代目社長である一郎さんは島に行くと「よそ者」扱いをされるそうですが、彼や先代の努力とご苦労は計り知れないものがあると思います。

 

実際に10年〜20年先を見据えて島のためになるような事業を進めて行きたいという展望もお持ちです。これまでと変わらず、熱い方でした。

 

今回の打ち合わせでも一致したのが、

 

「輸送コストや人件費を考えると、大島で事業をやって黒字化させるのは相当に難易度が高い。赤字でも良い、地域を発展させるためだと自分を納得させてやっていかないと気持ちのコントロールが難しくなるし、それこそがまさに"仕事"だよね。」

 

船の便数や使用期限、受け入れ方の対応の負担を考えると観光客が増えていくのは楽観的な見込みだし、購買力が大きい観光客の比率を増やそうとするのは、ほぼアウトオブコントロール。もっと踏み込んで言うと、今の東京都の伊豆大島に対する施策はこれに逆行してすらいます。

人口も急スピードで減少している中、人材を集め・育てるのも至難の業。

小規模であるならまだしも、企業の進出市場として見た場合、相当に歩が悪いことは火を見るよりも明らかです。

 

「お互い、選んじゃったんだからしょうがないよね!」

 

結束を垣間見たような気がしました……!

 

 

そして、はちみつと伊豆大島ブランドの設立に関しては

 

「ホント良いところに目を付けたよね!」

 

と褒めてくれました。マジ嬉しいです。

 

 

ブランドを0から立ち上げていくことはすごく貴重な体験で勉強にもなりますし、プロダクトを作るというのは何物にも代えがたい達成感があります。

 

開発事業もついに折り返し。

とっても楽しみ!

 

伊豆大島観光大全!!